「議事録まとめて」とAIに頼んだら、当たり障りのない薄い要約が返ってきた——そんな経験はありませんか。原因はAIの性能ではなく、頼み方です。この記事では、会議の録音から共有まで合計10分で終わらせる手順と、コピーしてそのまま使えるプロンプト(AIへの頼み方)を紹介します。
議事録に1時間かかる本当の理由
会議中、あなたは「話を聞く」「メモを取る」「議論についていく」を同時にやっています。人間の脳はこれが苦手です。だから会議後に「あれ、誰が検討するんだっけ」「期限は言ってたっけ」となり、記憶をたどって書くしかない。ふわっとした議事録ができあがり、1時間が消えます。
解決策はシンプルで、メモを取るのをやめて、記録は機械に任せることです。人間は聞いて考えることに集中する。これが土台になります。
手順1:録音の仕組みを作る(5秒)
やり方は3つあります。
- オンライン会議:Zoom・Microsoft Teams・Google Meetには録画と自動文字起こしが標準で付いています。開始時にボタンを押すだけ。※会社の設定でオフになっている場合は情報システム部門に相談を
- 対面の会議:スマホの「ボイスメモ」(iPhone)や「レコーダー」(Android)で十分。机の中央に置くだけです
- 会議が非常に多い人:文字起こし専用サービスもありますが、まずは上の2つで始めて足りなくなってからで十分です
必ず守ること:会議の最初に「議事録を作るために録音させていただきますね」と一言。無断録音は、法律以前に信頼を失います。副産物として、記録されていると分かると発言が少し引き締まります。
手順2:文字起こしを手に入れる(1〜3分)
オンライン会議なら、自動でできた文字起こしをコピーするだけです。録音ファイルの場合は、音声をAIにアップロードしてこう頼みます。
この音声を文字起こししてください。 話し手が変わったら改行してください。
1時間の会議なら30分ずつに分けると安定します。文字起こしの誤字(「シンショウヒン」「タナカさんがインサツガイシャに」など)は直さなくて大丈夫。次の工程でAIが文脈から直します。
注意:社外の人が参加した会議、顧客名や金額が出る会議、人事や未公表の経営情報を含む会議の音声は、会社が契約しているAI以外にアップロードしないでください。どうしても使う場合は、名前を「A社」「B氏」に置き換えたテキストだけを渡します。迷ったら、やらない。
手順3:議事録にする——コピーして使えるプロンプト(2分)
ここが中心です。次の文章をそのままコピーし、最後に文字起こしを貼って送ってください。
あなたは、議事録づくりのプロの事務局担当です。 以下の会議の記録から、社内で共有する議事録を作ってください。 # この会議について ・◯◯プロジェクトの定例会議(参加者:営業部と開発部の6名) ・読む人は、参加者本人と、欠席した部長 # 守ってほしいこと ・言い間違いや、雑談は入れないでください ・文字起こしの誤字は、前後の文から判断して直してください ・「誰が言ったか」より「何が決まったか」を優先してください ・はっきりしない部分は、勝手に埋めずに【要確認】と書いてください # 書き方の形 1. この会議の要点(3行以内) 2. 決まったこと(箇条書き) 3. やること(表にする:やること/担当者/期限) 4. 決まらなかったこと・次回に持ち越すこと 5. 【要確認】の一覧 --- 以下、会議の記録 --- (ここに文字起こしを貼る)
このプロンプトの、どこが効いているのか
理由1:3つに分けさせている。 議事録で本当に必要なのは「決まったこと」「やること(誰が・いつまでに)」「決まらなかったこと」の3つだけ。発言を全部書き起こしても誰も読みません。この形なら、読む人は30秒で会議の中身が分かります。
理由2:担当者と期限を必ず書かせている。 会議で期限が決まっていなければ、AIは【要確認】と書いてきます。つまり「期限を決めずに会議が終わった」ことが目に見える。議事録が会議の抜けを見つけてくれます。
理由3:「勝手に埋めるな」と言っている。 AIには、分からない部分をそれらしく埋めてしまう癖があります。議事録で創作をされたら大事故です。だから先に「【要確認】と書け」と命じておきます。
ビフォー・アフター:同じ文字起こしから何が変わるか
「議事録まとめて」とだけ頼むと、こうなります。
会議では新商品Aの発売について議論されました。 印刷の遅れにより、発売日の変更が検討されました。 広告についても調整が必要とのことです。
誰が何をするのか、いつまでなのか、何ひとつ分かりません。上のプロンプトを使うと、同じ材料からこうなります。
■ 決まったこと ・新商品Aの発売日を、11月1日 → 11月15日に延期する ・広告の出稿開始を、11月10日に変更する ■ やること | やること | 担当者 | 期限 | | 広告代理店へ日程変更を連絡 | 【要確認:発言者名】 | 10月3日 | | 営業チームへ延期を周知 | 【要確認:発言者名】 | 10月4日 | ■ 決まらなかったこと ・発売記念キャンペーンの実施可否 → 予算確認後、次回判断
文字起こしに「私がやります」としか書かれていなかった箇所は、AIが名前を勝手に埋めず正直に【要確認】と申告しています。あなたはそこだけ記憶で埋めればいい。全部書くのと3か所埋めるのでは、労力がまったく違います。
手順4:自分の目で確認する(3分)——ここだけは飛ばさない
議事録は、あなたの名前で出る文書です。責任はAIではなくあなたにあります。とはいえ全部を読み直す必要はなく、見るのは3つだけ。
- 決まったことが記憶と合っているか
- 数字(日付・金額・個数)が合っているか
- 人の名前が合っているか
この3つに絞れるから3分で終わります。逆に、この3つを見ずに送ると、いつか事故ります。
手順5:共有(1分)→ 合計10分
| 手順 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 会議の最初に「録音しますね」と言う | 5秒 |
| 2 | 会議終了。文字起こしを取得する | 1〜3分 |
| 3 | プロンプトに文字起こしを貼って送る | 2分 |
| 4 | 決まったこと・数字・名前を確認する | 3分 |
| 5 | 関係者に共有する | 1分 |
会社の書式に合わせたいとき
過去の議事録を1枚、見本として渡すだけです。「【見本】は当社の議事録の書式です。この書式・見出し・文体に合わせて【会議の記録】から議事録を作ってください」と頼むと、AIは書式だけでなく文体の硬さや詳しさまで読み取って真似します。言葉でルールを説明するより、見本を1つ渡すほうが速い——これはAI活用全般に効くテクニックです。
よくある質問
文字起こしが長すぎて、AIが「長すぎます」と言ってきます
会議を前半・後半に分けて2回に分けて議事録を作り、そのあと「この2つの議事録を1つにまとめて、重複を整理して」と頼めば統合できます。
出てきた議事録が薄いです
原因はたいてい2つ。プロンプトの「この会議について」の説明が足りない(何のプロジェクトで、誰が読むのかを書き足す)か、そもそも文字起こしに情報が少ない(録音位置が遠い)かです。次回はスマホを話し手の近くに置いてください。
専門用語が全部おかしな漢字になります
プロンプトの最後に「この会議では次の用語が使われています。誤字はこれに直してください」として用語リスト(例:「エスエフエー」→「SFA」)を足してください。一度作れば毎回使い回せます。
上司が「AIで作ったのか」と気にしそうです
品質が高ければたいてい問題になりません。気になるなら「録音から起こして、私が確認しました」と伝えれば十分です。事実ですし、実際にあなたは確認しています。
まとめ:議事録は「書く」のをやめる
録音→文字起こし→3つに分ける、の型を一度作れば、以後は文字起こしを貼るだけになります。同じ型は商談メモ、1on1のメモ、電話メモにもそのまま使えます。
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